機能性便秘 原因

便秘の中でも、特定の疾患が原因でない機能性便秘の方は多く見受けられます。では、具体的に機能性便秘に陥るとされる原因はどのようなものでしょうか。

 

機能性便秘のほとんどは、疾患ではなく生活習慣が原因であるといわれています。

 

自律神経の失調

もっとも多いのが自律神経の失調ではないでしょうか。われわれは、2つの神経系を切り替えながら生活しています。交感神経は物事に集中したり、力をだすことに適しており、心拍数が上昇し、血液を体幹にあつめて臨戦態勢をとるものです。

 

この場合、お腹の消化活動は一時的にお休みするため抑制され、粘液や消化物質などもすくなくなります。一方で副交感神経はわれわれの体がリラックスをするときにはたらく神経系であり、心拍数がおち、血液は体の隅々にいきわたることで、休息を促します。通常人間はこの間に消化活動をおこなうため、もっとも活発に腸や胃といった器官が働くといっても過言ではないでしょう。

 

通常日中は交感神経、夕方や夜、朝方は副交感神経が優位となっており、これによって私たちは一日のリズムをつくっています。しかし、こうした自律神経の働きが崩れると、消化活動にも大きな影響がでてきます。

 

腸のはたらきはわれわれの体の中のホルモンという物質によってコントロールされているのですが、これらの分泌がうまくいかなくなることがわかっています。これにより、腸の活動が極度に亢進されたり、または反対に極度に抑えられてしまったり、といった両極端の反応を示すことがわかっています。






精神的なストレス

目には見えませんが、現代人はとくにストレス社会を生き抜いているといわれています。この精神的なストレスが近年腸の消化活動に大きな影響を与えていることがわかってきました。

 

通常、ストレスを感じると人間の身体は交感神経が優位に働き、アドレナリンが活発に分泌されることが判っています。このため、アドレナリンは別名ストレスホルモンともいわれます。一方で、人間にはリラックスや幸せを感じるセロトニンと呼ばれる物質が関係していることもわかっています。このセロトニンは、脳内と腸内の両方で作られることがわかってきました。脳内で作られたセロトニンは幸せやリラックス効果をもたらします。

 

しかし、腸内のセロトニンはそれとは異なり、腸の活動をコントロールしています。同じセロトニンですが、役割が異なり、腸のセロトニンが脳内に移動するなど、2つは交わることはありません。この中で、腸内のセロトニンはストレスを感じたときに多く分泌されることがわかっており、この腸内セロトニンの濃度が高いと、腸の動きに変調をもたらすのです。具体的には、腸が痙攣し、ごろごろとなったり、まさに痙攣性便秘の症状を呈することが多いようです。

 

脳のセロトニンが10%ほどであるのに対し、腸内でつくられるセロトニンが全体の90%と多く、その影響が大きいことがわかります。通常では脳内>腸内といったセロトニン濃度であるようですが、バランスがくずれると脳内<腸内となってしまいがちであり、この場合消化活動に影響が出始めます。

 

具体的な悪い生活習慣とは

気をつけるべき生活習慣は、皆さん大方予想がついているのではないでしょうか。暴飲暴食や喫煙、飲酒、そして夜更かし、徹夜、睡眠不足、と体がしっかりと休息をしないままの状態が慢性的に持続すると、自律神経の状態は簡単に崩れていきます。

 

もちろん、過度にストレスを受けやすい環境に身をおいていても腸に影響がでるのはいうまでもありません。

 

また、典型的な生活習慣として、忙しい中で排便を我慢しがちである、というもの。これは本当にいけません。特に女性やオフィスワーカーなど羞恥心や役割から満足にトイレの時間をつくれなかったりする方は直腸性の便秘予備軍ともいえるでしょう。

 

よく聞く生活習慣やストレスといったものが、実は多大な影響を及ぼしていることがみてとれます。逆に、生活習慣を改善するだけで、便秘が改善できる可能性が非常に高いこともわかりますね。是非参考にしてみてください。